この子らを救わん 愛の「おぎゃー献金」物語

《••…•おぎゃー献金というのは、ちかごろ気持のよい話だ。赤ちゃんが無事生まれた時 の感激を記 念して、生んだお母さんとお産に立ち会った医師が、「+円以上百円以下」を出し合 う。この金は全 国の産婦人科医が集め 、 気の毒な心身障害児の救済に向けられる。五体満足のすこやかな赤ん坊をえ たとき 両親の喜びは、なにものにもかえがたい。天地神明に感謝する気持だ 。喜んで献金したいも のだ。その金が不幸なこどもとその親の救いの一助となる 。 この本部は、東京都新宿区市ヶ谷砂土原 町一ノニ日本母性保護医協会 。よいこ を実行に移してくれた。……》 この一文は、献金のすべての意味を言い尽 くしています。新聞に目を 向ける多くの人々が読む「天 声人語」欄ですから 、 『おぎゃー献金』はもちろんのこと 、「 日母」の本部の住所の明記とともに P R に対する絶大な貢献となり、何物にも換え難い貨重なものでした 。 さすがは「天に声あり人をして 語らしむ」という民の声を天 の声と した意義深い「天 声 人語」の偉大さに感服しました 。 しかし好事靡多し、は世の習い。発会式も無事に終え、やれやれと胸をなでおろしている時に、第 一号の献金をされ、会の発展のために激励の 言葉まで戴い た寿美花代さんの長男 のご不幸が報ぜられ ました 。 この時は「万事休す」と深刻な悩みに突 き落とされた感じで した。しかしこの最愛 のご子息を失わ れた不幸は不幸として乗り越えられ、 寿美さんは三十五日忌に当たる九 月二十七日に、香典 返しと し 80

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