この子らを救わん 愛の「おぎゃー献金」物語
またたとえわが生命をかけ た難産であっても 、わが子の元 気そうな泣き声を耳に し、スャス ャと眠りに入るあの満ち足りた幸せいっぱいの母親の顔゜ そこで産婦さんにお願いするのですが、どうかこの喜び、この幸せの千万分の一にも足り ない金十円也を、障害児に、そして不幸をともに負う母親の家庭に分ち与えてください。こ の喜捨の積み重ねによって、これらの不幸児も、必ずや明るい幸福な日を迎えることができ るでしょう。 このことを産婦人科医及び助産婦の手によって全国的に実施し、その喜捨がわずか十円玉 一個であっても、年間百六十万の分娩数によって千六百万円が積み重ねられることとなりま す。お産に立ち合った医師や助産婦の方々にも同額をお願いするとしたら、なんと三千二百 万円もの巨額に達します。 今や医の仁術が叫ばれ 、 それが強く求められている時でもあります。国民皆保険並に医療 保障の実施されている現在では、かつての済生会的医療は「仁術」になりません。われら医 師が、常時地域的にまたは職場で奉仕することが 今日の医の仁術です。医療はこの仁術を 底辺にして打ちたてたものであるべきです。幸いに、われわれ産婦人科医は、母性保護に最 大の理解を示している一方、生まれ出る子ども 、特 に障害児に対する理解と関心も大である と思います。 鹿児島県母性保護医協会は、勇気と決断をもってこれを全国に提唱し、障害児救済対策へ 72
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