この子らを救わん 愛の「おぎゃー献金」物語

そこで治療のあいまをみては次のようなパソフレットをつくり全会員の方々に配布して目的の貫徹 に備えることにしたのです。 ー天井から吊るしたゴムの細いひもの途中に、小さな象のオモチャを結びつけ、そこか ら下に垂れた残りのひもに 、輪 をつくる。その輪を引くと、チビ象がおどり出すという仕組 みです。ーー これは 、サ リドマイド禍のわが子の不幸を直視し、不可能とされた手術が、はるか遠くか ら来朝されたヘルジソキ大学教授マッチ ・ スマラー博士の手によって成功 、 ギプス除去後の 訓練のために考案した 、血 にまみれ 、 涙に涸れた父性愛の手記の一節です。 この父、この母が、神よ仏と頼む目的の医者を探し求めて、次から次へと訪ね、結局得た ものはヒュ ー マニティの欠如であり、ヒュ ーマ ソリレーショソの稀薄さであったということ です。そのために 、二度 と医師の診察は受けまいと決意したというこの医師への不信 、この 憤憑をわれわれ医者は、傍観してよいのでしょうか 。 私の近くにも、脳性麻痺で十八歳を頭に、三人の姉妹 重症心身障害児がいます。奇特 一電気商の人から贈られた一台のテレビを前にして、横向 きに 、あるいは仰向きに寝、ある いは腹這いになって、奇声を発しながらテレビ 映像をみて喜ぶ三者一ー一様の姿は、まさにこ 70

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