この子らを救わん 愛の「おぎゃー献金」物語

で 、 国民すべてが等しく負わなければならない責任でもありました c 敗戦ですべてを失った日本人が 世界中の人々が目を見はる驚異的な復興を遂げ 、 戦前にも増して繁栄を築いている間、障害者は忘れ られていたのです。 そして戦後二十年を数える年になって、はじめて彼らにも陽の光が当てられようとしていました。 長い 、 あまりにも長い日々であったというべきではなかったでしょうか。 さて、この重症心身障害の原因は大半が「脳性麻痺」です。その脳性麻痺がどうし 起こるのかと いうことははっきりしていませんが、われわれ産婦人科医にも相関関係のあることは否定できません。 妊娠し 、 子どもを生むのは妊産婦自身の問題であっても 、 それに手を貸し、新しい―つの生命をこ の世に送り出す手助けをするのは助産婦であり看護婦であり、そしてその中心となるのが私たち医師 なのですから…… 。 ことに難産で、産道に胎児が引 っかかってなかなか 出てこられない場合に、鉗子や吸引を施します が 、 これらの方法は脳損低を起こしやすいことをいちばんよく知 って いるのは、他ならぬ私たち医師 自身なのです。 母体を助け、同時 赤ちゃんをもこの世に送り出そうという目的のために 、 やむをえなく使用され る方法だとしても 、 その結果が障害児を生んだのでは 、 医師の心にも大きな責めと後悔とが残るのは 68

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