この子らを救わん 愛の「おぎゃー献金」物語
「これでもう安心だなあ、三人の姉妹も、そしてその兄 も両親も 、 これからは苦しむことなく生き てゆけるのだから……」 診察室に帰った私は一人 、 つぶやいていました。疲れましたが 、 それは何ともいえぬ 心地よさを伴 った疲れでした。身体 の疲れと は 襄腹に 、心 はあくまで も澄みきっ て 、 満足感にあふれていたのです。 当の三人姉妹とその治療が経済的に苦しむことなく暮らせるようになったことはもちろんのことな がら、その小さな隣人愛がしだいに広がり、ついには多 くの恵まれな い不幸な子どもたちをも包む会 が発足し 、 それが全国的に広まっていったからです 。当 初予期しなかったこととはいえ、これは私に とっ てとにかくうれしい限りの誤算でした。 "人を見たら泥棒と思え I I とよくいわれま す。 しかし私は、や っ.はり "渡る世間に鬼はなし 1 1 の格 言を信じたい気持でいっばいでした 。 人の善意というものの素晴らしさ、そしてそれが結集したとき の力強さを改めて認識させられ のです。とかく弱 者が疎外されやすいのがこの世の中です。この 真に批難されるべきもの 56
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