この子らを救わん 愛の「おぎゃー献金」物語
2 ったからでした。あ のまま大 口市で私 が孤軍奮闘していたとしても 、 その効果はたかが知れています。 , たとえ私が本業を放り出し、日夜不眠不休 で 走りま わったところで 、 現在の規模の何十、何百分の一 も実を結ばなかったであろうと思います。一人一人の力は小さいが 、 それが集まり組織という形をと ると 、こんな にも強く 、 大きくなるものか、これが私の偽らざる心境でした。 このところ、とみに医 の荒廃が 叫 ばれています。埼玉県所沢 市 の富士見産婦 人科病院 のように 、 社 会を ゆるがせた事 件 は 、 医療する側 、 つまり私たち産婦人科医に対する鋭 警鐘であったといわねば ならな いと思います。医の倫理を忘れたところに愛の育つはずもなく 、 また医師と患者との疎通もあ りません。互い を監視し合うような 、たと えば今のアメリカの医療にみられる ようなことに なっ ては 大変で す。 アメリカでは、医師 が過誤事件を起 こすと患者側から訴えられ、とてつもない額の請求をされるの が 一種 の流行のようになっているのだそうです。このため万一を恐れた医師の多くが病院をたたみ 、 軍隊に入 ったり (軍医として)、あるいはまた官民 の大病院の勤務医になったりして 、責任が自分一 人に背負わされるようなことのないよ うに自衛しているのです。こ こには信頼と協調 のカケラもない といわ ざるを得ません。こうした状態の 中 では、いかに名医てあっても 、患者 との間には 、 自 由 で確 固たる医療 は成立しないことになります。 こ うしてアメリカでは医師が自ら防衛医療に走った結果 、患者 が以前のように気安く医師にみても
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