この子らを救わん 愛の「おぎゃー献金」物語
なわち P . T (理学療法士)、運動のやり方を母に教える O • T (作業療法士)、離乳食の与え方を母 に教える s .T (言語療法士)などが手に手をとって団結し、教育に専念する姿が、各療育機関に出 現してきました。 かつて私は灰白色でホルマリソ臭の強い脳によってのみその実体を教わったのですが、今は開頭術 によって生きたサンゴ色の脳の実物を直視し、大脳皮質そのものに直接メスがあてられる世の中にな りました。 この医学及び教育の進歩発展によって、障害児への治療の道 も開拓され 、明るい希望の灯が点じら れようとしています。彼らも健康な新生児として、大人への成長の道筋をたどりつつあったのに、母 の胎内にある間に、あるいは生まれ 前に、また生まれた直後に、ちょっとし はずみで脳に損傷を 受けたのが原因でそうな たの ちがいありません。 両親の罪でなかったことが、世 の人々の間でも理解される時代に変わってきました。従って、すべ ての障害児が堂々と生き、社会福祉 の中に大手を振って生活する権利が 、与えられつつあります。 故時実利彦氏 名著『脳と人間』にスフィンクスの謎が書い あります。顔は処女、胴体は獅子、 そして翼をもった怪獣スフィソクスが、山の下を通る旅人に向かって「朝は四本足 昼は二本足、そ して夕方は三本足で動く動物は何か」と問いかけ、答えら なかった者はかたっばしから食い殺した といいます。ところが勇士オイティプスが「それは人間だ。赤ん坊は手足を使って這い、成長すると 160
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