この子らを救わん 愛の「おぎゃー献金」物語
満三歳の 『おぎゃー献金 』 昭和三十九年に誕生したおぎゃー献金が、この七月で満三年になった。(中略)献金額は去る五月 末までに総計八千九百万円にも達し、今年度中には一億円を突破する見込みだという。 現在わが国には、心身障害児(者)が約百万人もおり 、 そのうち重症心身障害児(満十八歳未満) はおよそ三万人 も及ぶと言われている 。 障害の軽い子どもたちには、各種の治療を受ける道も開か れているが、治る見込みはほ んどない重症の子どもには、収容施設も極めて少なく、その多くの家 一億円へ ( 「 信濃毎日新聞」昭和 4 2 年 7 月 3 1 日 ) 話に 、 遠矢さんはマュをひそめた。 「それはあまりにも痛々しい。もっと 他 に手段があると思うんだ が 、 母親の気持ちにはわれわれの考える以上のものがある。それを思うと一般論では・ … . . 」と 、その 行動を黙視することにした。 自分たちで訴え もでき い重症身障児たち。この子たちは、世間一般のあらゆる価値評価の 基準 、 たとえば損得、善悪 、 美醜、財産などを超越した存在だ。健康な人びとはこうした子どもたち を救う義務があるのではないか。 遠矢さんは、どのくらい 反応を呼んで献金が集まるか。施設建設を夢みる遠矢さんはそれを夢に まで見ながら指折り数えて待っている。 (児玉辰雄記者 ) 106
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