この子らを救わん 愛の「おぎゃー献金」物語

般講演があったあと 、 大口市の開業医遠矢善栄氏(五六 ) が「異常児対策について」異例の呼びかけ を行なった。 同氏は大口市の医師会長 も兼ねており 、同市 の脳性麻痺三姉妹の救済や医療保護などの推進者とな っている人。「これら不幸な重症心身障 害児の施設を新たに造ったり 、 充実させるには、われわれ産 婦人科医が、まず世論の代表者とならなければなりません 。正常分娩のたびごとに 、 医師とその母親 とが 、 喜びの十円玉寄金をしよう。これを他県の支部会にも呼びかけて全国運動に盛り上げよう 」 というもの。 異常分娩などによる重症心身障害児は全国で約十万人と推定されている。その原因は血族結婚が 一 番多 く 、東 京医科歯科大学では「いとこ同士の結婚をやめれば、シラコ(全身の皮南色素が欠如した 奇形児)やものが 言えない人のうち半分近くはなくなる」と発表しているほど。また妊娠中羊毎症やサ リドマイド系睡眠薬によるものもあり 、 この日の学会でも鹿児島県内の症例が報告された。 これら重症心身障 害児の対策は 、 これまで国の施策としては全く取り上げられておらず、大口市の 小児麻痺三姉妹のように、民間の協力 や善意によって支えられている例が多い。遠矢氏の十円寄金の 提案は参加者全員の拍手で受け入れられ、実行委員の選出や寄金の具体的な方法などは執行部に一任 した 。ある会員は 「最近、性道徳の乱れなど、そ の原因は優生保護医の責 任だとす る的はずれの批判 もあり 、と かく風当たりが強い。この機会に寄金運動を強力に推進し 、 われわれの良心を示したい 」 10

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